もうすでにご存じのように、ウラジオストクはグルメの町で、たくさんの魅力的なレストランがあります。なかには、ただ食事を楽しむだけでなく、午後の空いた時間を使って常連さんなどを相手にロシア料理の教室を始めたという店もあるんです。
今回は外国人旅行者でも料理教室を体験できるレストランを紹介しましょう。
ロシアでは手づくり料理体験といえば、ロシア風パイのピロシキや水餃子のぺリメニが相場です。
その店は、ウラジオストク市内中心部の高台の住宅地にある「クヴァルチーラ30(Квартира30) 」。
店名「クヴァルチーラ」のロシア語の意味は「集団住宅」で、ソ連時代のアパートに郷愁が込められているそうです。
一見レストランには思えない「クヴァルチーラ30」の外観。階段を上って玄関へ。
実際、その店はソ連時代のコンクリートむき出しのアパートの中にあります。路地裏のややわかりにくいところにあるのですが、ロシアのグルメ雑誌のランキングでトップ60にも選ばれた人気の隠れ家レストランです。
店内は、ロシアの家庭に招かれたようなアットホームな雰囲気です。
レストランの隣にあるオープンキッチンが料理教室の舞台になります。
オーナーのオリガ・グルースカヤさんはウクライナ出身。心温まる家庭的なサービスと新鮮な極東ロシアの食材を活かしたオリジナルな料理が楽しめます。供される料理はそのときどきの季節で変わり、手書きの日替わりメニューに書き出されるのですが、この店のインスタグラムをご覧になると雰囲気が伝わるでしょう。
同店のインスタグラムには、さまざまな料理やデザート、料理教室の様子などが紹介されています。
オリガ・グルースカヤさんを中心にオープンキッチンに勢ぞろいしたクヴァルチーラ30のスタッフです。
オリガさんが料理教室を始めた理由は、ただ料理を出すだけでなく、人と人のつながりを大切にし、シェフと顧客の交流をもっと深めたいと考えたからだといいます。基本は常連である地元の人たちを対象としていましたが、現地在住の日本人の働きかけもあり、日本人ツーリストも受け入れることになりました。
ランチとディナータイムを外した午後のひととき、料理教室はまずオリガさんによるロシアの食文化のレクチャーから始まります。
最初に、軽いつまみとしてビーツのサラダやキノコのマリネ、ニシンの酢漬けなどのロシア風の前菜とパンのオードブルが出されます。もし望めば、冷えたスパークリングワインを食前酒としていただくことも。
料理実習の前にアルコールはいかがなものかという人には、極東ロシアの森でとれた木の実や果実のジュースが各種そろっているので、それらをいただくといいでしょう。
オードブルはロシア沿海地方のキノコやマツの実などの食材が使われています。